0. 労働基準法第10条第1項で「同法は常時5人以上の労働者を雇う全ての事業又は事業場に適用
する」と定めており、常時4人以下の労働者を雇う事業又は事業場に対しては法の一部を適用
している。
-「常時」とは状態的に労働者数が5人以上になることをいい、これは社会通念に基づいて客観的
に判断しなければならない。
-「常時5人以上の労働者を雇う」事業又は事業場は、常時勤めている労働者数が5人以上では
なく、使用する労働者数が5人以上であることをいう。この場合、労働者は時々の必要に応じて
使用する日雇労働者を含む。
- 従って勤労者数が時々5人未満になる場合があっても、常例のことと見て5人以上になる場合に
は、労働基準法の適用対象になる
0. 労働基準法第23条により「労働契約は期間の定めのない契約と一定の事業の完了に必要な
期間を定めた契約を除き、その期間が1年を超えてはならない」とされている。
- 期間の定めのない労働契約は許容される。
- 期間を定めた場合には1年を超えなてはならない。
- 例外として一定の事業の完了に必要な期間を定めた場合には、1年を超える労働契約も認め
る。
・ 労働契約は期間の満了によって当然終了されるが、もし契約期間が満了された後でも労働者側
に契約更新の意思があり、契約更新が慣例となっている場合は使用者がこれを拒否するような
客観的な事情がない限り、契約更新を拒むことはできない。
0. 短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が当該事業場の同種業務に勤めている通常の労働
者の1週間のそれに比べて短い勤労者のことをいう。
0. 短時間労働者の労働条件は、当該事業場の同種業務に勤めている通常の労働者の労働時間に
比例して保護しなければならない。
- 月次有給休暇(韓国特有の制度で、1ヶ月の所定労働日数を皆勤した者に与えられるが、1年
間に限って貯めたり、分割して利用することができる)・年次有給休暇は通常の労働者の休暇
日数に比例して保障するが、時間単位で与えなければならない。
- 休日、生理休暇、出産休暇(産前・産後休暇)は通常の労働者と同一に与えるが、この場合、
賃金は通常の賃金の日給を基準とする。
0. 短期間労働者のうち、1週間の所定労働時間が極めて短い短期間労働者、すなわち4週間を
平均として1週間の所定労働時間が15時間未満である労働者に対しては退職金、休日、月次・
年次有給休暇を与えなくても構わない。
0. 大半の先進国の社会保障制度は3階構造(国家・企業・個人)を維持しており、韓国の退職金制度
は3階構造のうち企業年金に当てはまる。
0. 韓国の社会保障制度は先進国に比べて低水準で、退職金制度の任意化は国民と労働者の強い
反対に直面するとされる。
0. 法廷退職金制度による企業の負担は賃金の8.3%水準で、法廷退職金自体よりは労使間で採択
した退職金の累進制が企業経営の負担となっており、これは労使間で自律的に解決すべき問題
である。
0. 現行の退職金制度がたとえ法律によって強制されているが、企業の実情に合わせて運営する
ように退職金中間精算制と退職金年金制度を導入しているため、企業の負担を最小限に抑える
ことができるとされる。
0. 使用者の退職金支給負担を減らすために中間精算制度を導入している。
- 中間精算制は労働者が退職する前でも今まで勤めていた期間に対する退職金を予め支給
できる制度である。この場合、予め精算して支給した後の退職金算定のための勤労年数は精算
時点から新しく起算される。
- 退職金の中間精算後にも年次有給休暇の起算、昇進、昇級、年功、賞与金など、他の労働
条件においてもそのまま年数が認められる。
0. また、退職年金保険、その他これに準ずる保険に加入すれば、労働基準法上の退職金制度を
採択していると見なす退職金保険制度を導入している。
- 労働者は、退職保険または退職一時金信託に加入して退職時に一時金、あるいは年金として
もらうことができる。
- この場合、退職保険などによる一時金の額が既存の退職金制度による退職金額より少なくては
ならない。
0. 現在、1週間44時間となっている法廷労働時間を40時間に短縮して労働者の暮らしの質の向上
を図る。
0. 一定の単位期間内に所定労働時間を平均し、週間法廷労働時間を超えない範囲内で単位期間
内の特定日、または特定週の所定労働時間が1日または1週の法廷労働時間を超えることが
できるようにする柔軟な労働時間制の単位期間を現行の1月以内から3月以内に拡大して労働
時間の効率的な活用を図る。
0. 使用者は労働者代表との書面協議によって延長労働・夜間労働及び休日労働に対して支給され
る賃金の代わりに休暇を与えることができるようにして労働者と使用者の賃金と休暇に対する
選択の幅を広げる。
0. 国際的な立法の例に従い月次有給休暇を廃止して、女性労働者に対して月1回の有給生理
休暇を与えるようにしていたことを無給化して使用者の負担を軽減するようにする。
0. 1年間皆勤した労働者に対して10日、9割以上を出勤した者に対しては8日の有給休暇を与え、
1年ごとに1日の休暇を加えるようにしていたことを1年間8割以上を出勤した者に対して15日の
有給休暇を与え、2年ごとに1日の休暇を加えるが、休暇日数の上限を25日と決める。
0. 使用者が年次有給休暇の使用促進に向けた措置を講じたにも関わらず、労働者が休暇を
使わない場合、それに対して補償する使用者の義務を免除し、労働者の年次有給休暇の使用を
促進する。
0. この法の施行日は次のようである。
• 金融・保険業、一定の要件の政府投資機関など及び常時1,000人以上の労働者を採用する事業、または事業場:2004年7月1日
• 常時300人以上1,000人未満の労働者を採用する事業、または事業場:2005年7月1日
• 常時100人以上300人未満の労働者を採用する事業、または事業場:2006年7月1日
• 常時50人以上100人未満の労働者を採用する事業、または事業場:2007年7月1日
• 常時20人以上50人未満の労働者を採用する事業、または事業場:2008年7月1日
• 常時20人未満の労働者を採用する事業、または事業場、国及び地方自治団体の機関2011鰍:2011年を超えない期間内で大統領令で定める日
0. 労働者の賃上げ要求に対して企業側が基本給を引上げる代わりに手当、福祉制度の増大を
通じて解決する慣行から始まった。
- これによって賃金体系が複雑になって賃金管理費用が膨らみ、各種の手当が固定化されること
から労働者の職務能力などを反映しにくい難関に直面している。
0. この問題の解決は原則的に労使間の自律解決が望ましいが、政府次元でも労使に対して行政
指導を行っている。
- 可能な限り各種の手当は基本給に編入し、類似の手当は統廃合して職務能力を反映する必要
性がある手当のみ存続するように誘導する。
0. 政府は大手企業の労働者に比べて福祉環境が脆弱な中小企業の労働者と低賃金労働者の
生活安定のために奨学金の支給及び医療費・慶弔費など、生活安定資金の貸付事業実施など、
社会福祉の充実に向け力を入れている。
0. 97年3月の改正労働関係法では、争議を行っている期間中の無労働に対しては賃金支給義務が
ないことを明示している。
- 労働組合がこれを要求・貫徹する目的で争議行為をすることを禁止し、違反した時は罰則を科す
ようにする。
0. 政府はストを行う際、無労働・無賃金の原則が守られるよう持続的に行政指導していく構えだ。
- 労組側がストの期間中に賃金支給を目的に争議行為をする場合には法律によって対応する
計画だ。
0. 97年3月の改正労働関係法では、使用者が労組関係者に給料を支払うのを禁じるよう改めた。
0. しかし、韓国の労使現実は他の国とは違って労組関係者の給料は使用者が支払うことが慣行と
して定着している。このためそれを一時制限する場合、労組活動が難しくなると予想されるので
06年まで禁止規定の適用を見送る。
- ただし、猶予期間中に労組の給料支援規模を労使協議によって徐々に縮小していくようにする。
0. 労働組合は労働者が主体になって自主的に組織された団体として労働者でない者の加入は
禁止されており、特定企業から解雇された者は原則的に組合員の資格を失われることになる。
0. しかし、使用者が労働組合活動に関して解雇された場合、つまり不当労働行為で解雇された者
は労働委員会に救済申請をして中央労働委員会の再審判定が下されるまでは労働組合員の
資格を認める。