0. 韓国に居住する外国人の場合
- 外国為替取引法上の申告手続きなしに売買契約後60日以内に管轄の市・郡・区役所に申告
(土地取得申告)した後、管轄登記所に所有権移転登記をする。
・ 居住外国人は、不動産登記時に必要な不動産登記用の登録番号と住所証明書類を外国人
登録証または法人登記簿謄本に記載されている外国人登録番号と住所地に代替できる。
0. 韓国に居住しない外国人の場合
- 不動産取得資金を搬入する時、外国為替取引法によって外国為替銀行の頭取にまず「不動産
取得申告」をしなければならない。(外国為替取引規定第7-45条)
- 以後 不動産が土地である場合*外国人土地法によって管轄の市・郡・区役所に「土地取得
申告」をして所有権移転の登記手続きに入る
※ 外国人土地法は土地取得に対する規定だけ定めているため、土地以外の不動産(建物)及び
関連権利(賃貸権、抵当権等)を取得する場合、外国人土地法による申告手続きは不要である。
しかし韓国では土地と建物を分離して売却しないことが不動産の取引慣行であるため、建物
だけ別途に取得する場合はほとんどない。
※ 不動産登記用の登録番号の発行:韓国に居住しない外国人(個人)はソウルの出入国管理
事務所で、法人は土地所在地の市・郡・区役所の地籍科で発給を受けることができる。
※ 居住者の定義
- 個人:韓国に住所あるいは居住地がある個人、国内の営業所に勤め、または営業活動に
従事している外国人、6ケ月以上国内に滞在している外国人
- 法人:大韓民国内に主な事務所を立ち上げた法人及び非居住者の国内支店・出張所・その他の
事務所
0. 非営利目的の取得の場合、別途法人や支店の設立なしに可能だが、取得した土地を賃貸などの
営利行為に使うことができない。
0. 営利活動(賃貸など)を目的とした取得の場合、商法第614条に基づいて韓国で法人や支店を必ず
立ち上げなければならない。
※ 商法第614条第1項:外国会社が大韓民国で営業しようとするときには、大韓民国での代表
者を決めて営業所を設置しなければならない。
※ もし外国法人が直接不動産を買入れた後に賃貸などの営利事業に向けて別途の法人を設立
する場合、不動産の名義変更で取得税・登録税を再び負担しなければならない。だから営利
事業のために不動産を買入れるときには、韓国に支店や法人を設立した後、その名義で購入
するのが望ましい方法である。
※ 最近、多くの企業が資金難で外国企業に保有不動産を売却した後、賃借(Sale&Lease)方式
で契約を締結することがあるが、この場合にも賃借は営利行為であるため外国企業は国内に
法人や支店を設立しなければならない。
- 韓国に営業所がない外国法人も買入れた不動産に対する登記が可能で、この場合不動産登記
用の登録番号は土地管轄の市・郡・区役所が発給する。
※ 登録番号の発給時に必要な書類:当該国が発給した法人登録、代表者・代表者住所地の
証明書類
0. 永住権者は外国人土地法上の外国人でないため、同法に規定されている土地取得申告は
要らないが、外国為替取引法上の非居住者に当たるため、外国為替取引法に従って資金の
搬入・搬出時に申告手続きが必要だ、(非居住者の取得手続きを参照)
0. 所有権の移転登記を行う際に必要な書類は
- 住民登録がある場合:韓国人と同様
- 住民登録が抹消された場合:次の追加書類が必
・ 住所証明書類または居住事実証明書(外国居住地の官公署発給又は外国公証機関の公証)
・ ソウル地方裁判所の登記課で付与する不動産登記用の登録番号(登記課:02−530−1892)
※ 登録番号の申請時に在外国民登録謄本(居住国の韓国領事館発給)と戸籍謄本、委任状
(代理申請時)などを添付しなければならない。(請願の郵便申請が可能)
0. マンション、住商複合マンション、ワンルーム・マンションなどの分譲を受けた場合にも一般的な
土地取得手続きと同様の方法で土地取得申告をしなければならない。
- 分譲契約を締結した日から60日以内に土地取得申告書、土地登記簿謄本、契約書などを
備えて管轄市・郡・区役所に申告する。
・ この場合、土地取得面積は分譲を受けたマンション、またはワンルーム・マンションの代地
持分になる。
0. 所有権の移転登記は通常、残金を全て払込んだ日から60日以内に土地所在地の管轄登記所
で登記すれば良い。
0. 銀行口座を通じて正常的に入ってきた取得資金で購入した不動産の売却資金は、自由な海外
送金が全面的に保障される。
0. 非居住外国人の不動産売買資金の搬・出入
- 不動産取得資金の搬入時に外国為替銀行の頭取に申告しなければならず、申告された資金で
購入した不動産の売却資金も申告のみで搬出可能だ。(当該不動産の取得及び売却を立証
できる書類提出)
0, 居住外国人(6ヶ月以上)の不動産売買資金の搬・出入
- 不動産買入れ資金の搬入は自由だが、売却代金あるいは不動産の賃貸所得の搬出は韓国
銀行の総裁に申告しなければならない。
0. 土地取得と関連した規制としては
- 04年4月現在、全国的に計15.183?が土地取引許可区域に指定され、韓国人が土地を取得する
時、契約の締結前に該当市・区長、郡代の許可が必要だ。しかし、外国人には適用しない。
・ 首都圏及び広域権の開発制限区域4,294?、板橋(パンギョ)宅地開発予定地区、新行政首都
の建設予定地、全羅南道(ジョンラナンド)庁の移転候補地、経済自由区域の指定地域(仁川−
インチョン、釜山−ブサン、鎮海−ジンヘ)、全羅南道の宇宙センター建設地、首都圏の金浦
(ギンポ)、坂州(パジュ)地区ノ新都市建設地域、牙山(アサン)新都市開発予定地など
- 農地法上、農地所有上限はない。だが、農地取得時に農地取得資格証の発行を受けなければ
ならない。
※ 農地法上、農地は実質的に農業経営が可能な場合に限って取得が可能であるため、韓国に
居住しない外国人は事実上農地取得ができない。
0. 次に土地の利用と関連した規制としては
- 「国土利用計画」により、全国土は5つの用途地域に分類されており、各用途地域ごとに 一定の
行為制限が伴っている。(国土利用管理法)
- 用途地域として指定されている土地に対しては「国土計画法」乃至「建築法」などによって個別
的な行為制限が伴う。
* 土地所在地の管轄市・郡・区役所で『土地利用計画確認願』の発給を受ければ、当該土地
に対する主要規制内容が分かる。
0. 最後に土地の開発と関連した規制としては
- 「開発利益還収に関する法律」によって宅地開発・観光団地造成など28の開発事業を施行する
時、開発利益の25%を負担金として賦課してきた。だが、政府の負担金賦課の緩和政策に
よって、04年1月1日以後に認可などを受けた事業に対しては、法律が定める時期まで開発負担
金を徴収していない。
0. 不動産仲介業者は不動産売買、賃貸借などの不動産仲介業務に関して仲介依頼人から所定の
手数料及び対象物の管理関係の確認に所要される実費をもらえる。
- 但し、仲介業者の責めに帰すべき事由によって仲介依頼人間の取引行為が無効・キャンセル、
又は解除された場合には手数料をもらうことができない。
0. 仲介手数料は取引価額に手数料の料率をかけた金額とするが、但し、料金が限度を超える場合
は限度額の範囲内でもらう。
- 一般住宅の手数料の料率及び限度額は
・ 売買の場合、5,000万ウォン未満は0.6%(25万ウォン限度)、5,000万ウォン以上2億ウォン未満
は0.5%(80万ウォン限度)、2億ウォン以上6億ウォン未満は0.4%である。
・ 賃貸の場合、5,000万ウォン未満は0.5%(20万ウォン限度)、5,000万ウォン以上1億ウォン未満
は0.4%(30万ウォン限度)、1億ウォン以上3億ウォン未満は0.3%である。
- 一般住宅を除いた仲介対象物と売買額6億ウォン・賃貸額3億ウォン以上の高級住宅は法廷
仲介手数料の限度(売買・交換0.2〜0.9%、賃貸借などは0.2〜0.8%)内で仲介依頼人と仲介業者
間の相互契約に基づいて決定する。
0. 韓国政府は、民資事業の目に見える推進成果を達成するために、制度改善、投資説明会の開催
などを通じて多角的に力を注いできた。
- その結果、03年12月現在、国が管理する事業が37、地方自治体の管理事業が97に達して
いる。
・ SOCプロジェクトの場合、建設社が主に参加してきたが、最近には年基金などの財務的投資
家の参加が活性化している。
- 外国人投資家も収益性及びレート変動による為替差損の適正保障、ファイナンシング制度の
整備などに後押しされ参加業者が増え続けている。
・ 仁川国際空港の第2連陸橋(AMEC、英国)、釜山新港湾(CSX World Terminal、米国)、
検丹下水終末処理施設(Veolia Water、フランス)、大田川辺の高速化道路(Egis、フランス)等
0. 新しく国内SOCへの投資を希望する外国業者及び投資家の場合、多様な経路を通じて情報収集
が可能だ。
- 民間投資支援センター(http://picko.krihs.re.kr)では、外国人の民間投資家向けの投資相談、
外国投投資家のための懇談会、海外投資説明会など民間投資事業に対する外資誘致活動を
支援している。
- 該当自治体は毎年投資誘致説明会を米国、ヨーロッパ、日本等で開催している。
- KOTRAの海外貿易官を通じて関心分野に投資てきるかどうか、関連情報の収集、コンタクト・
ポイントの確認などが可能だ。
0 民間投資法に基づいて投資する場合
- 投資が可能なSOC施設(36の類型)
分野 | 所管省庁 | 社会間接資本施設の類型 |
道路分野(3) | 建設交通部 | 道路及び道路付属物、路外駐車場、知能型交通体系 |
鉄道分野(2) | 鉄道庁 | 鉄道 |
建設交通部 | 都市鉄道 | |
港湾分野(2) | 海洋水産部 | 港湾施設、漁港施設 |
空港分野(1) | 建設交通部 | 空港施設 |
水資源分野(4) | 建設交通部 | 多目的ダム、河川付属物 |
環境部 | 下水道、水道 | |
情報通信分野(4) | 情報通信部 | 電気通信設備、情報通信網、超高速情報通信網 |
建設交通部 | 地理情報体系 | |
エネルギー分野(3) | 産業資源部 | 電源設備、ガス供給施設、集団エネルギー施設 |
環境分野(6) | 環境部 | 廃棄物処理、糞尿処理、畜産廃水公共処理、リサイクル、 廃水終末処理、下水終末処理施設 |
流通分野(3) | 建設交通部 | 流通団地、貨物ターミナル及び倉庫、 旅客自動車ターミナル |
文化観光分野(8) | 文化観光部 | 観光地及び観光団地、青少年修練施設、生活体育施設、 図書館、美術館及び博物館、国際会議施設 |
科学技術部 | 科学館 | |
建設交通部 | 都市公園 |
- 民間投資事業の各種インセンティブ
・ 最高15年間の政府告示事業の場合は90%、民間提案事業の場合は80%まで最少運営輸入の
保障可能:5年ごとに水準10%上方修正(但し、実際の運営輸入が推定運営輸入の50%未満の
場合には輸入保障に適用されない)
・ レートの変動による為替差損が20%以上発生する時、使用料の調整又は財政支援
・ 天災地変などやむを得ない理由で建設又は管理運営が不可能な場合、政府に事業の買収を
要請することができる。
・ 投資額の補てん又は施設の正常運営を図るために住宅建設、宅地開発、観光事業などの付帯
事業を行うことができる。
・ 事業施行者に土地収用権を与え、国・公有財産の場合、随意契約で売却又は無償使用する
ようにする。
・ BTO及びBOT事業の建設雇役に対する付加価値税の零細率を適用し、BOT事業の場合、
不動産の取得税、登録税の免除など、各種の租税及び負担金を減免する。
0. 韓国には、合名・合資会社はほとんどなく、株式会社が95%強を占めているため、一般的な会社
設立手続として株式会社の場合を見てみよう。
1) 発起人の構成
株式会社は1人以上の発起人が必要
2) 類似商号の検討
3) 発起人の総会及び議事録の作成
4) 定款の作成と公証
5) 株式発行事項の決定(発起設立または募集設立)
6) 株式引受と募集割当
7) 出資の履行(現物出資を含む)
8) 設立経過の調査
9) 創立総会の開催
10) 取締役会の開催
11) 法人設立登記及び申告
0. 絶対的記載事項(第289条1項)
定款に記載しなければならない最小限の要件として、一つでも記載しなければ会社設立自体が
無効となる。
a. 目的
b. 商号(株式会社を明記)
c. 会社が発行する株式の総数
d. 1株当りの金額(100ウォン以上)
e. 会社設立時に発行する株式の総数
f. 本店の所在地
g. 会社の広告をする方法
h. 発起人の氏名と住民登録番号及び住所
0. 相対的記載事項
記載するかどうかが定款の効力には影響を及ばさないが、記載しなければ会社と株主に対して
効力がない。
a. 変態設立事項(第290条)
規定しないと、発起人と第3者の個人的利益追求により会社の財産的基礎を脅かし、会社と
株主及び会社の債権者の利益を害する恐れがある事項
- 発起人が受ける特別利益とこれを受ける者の氏名(第290条第1号)
- 現物出資者の氏名と目的財産の種類・数量・価格・代価として支払われる株式の種類と数
(第290条第2号)
- 会社成立後に譲受することを約定した財産の種類・数量・価格・譲渡人の氏名(第290条第3号)
- 会社が負担する設立費用と発起人が受ける報酬額(第290条第4号)
※ 変態設立事項は濫用する恐れがあるため、必ず裁判所が任命した検査人の審査を受ける
ようにする。
b. その他の相対的記載事項
株式の譲渡制限(商法第335条第1項の但し書)、株式買受選択権の付与(第340条の2)、数種の
株式発行権(第344条)、無記名株券の発行(第357条第1項)、転換株式の発行(第346条)、議決
権のない株式の発行(第370条第1項)、株式の利益消却(第343条第1項の但し書)など
0. 任意的記載事項
記載しなくても定款の効力や会社の営業活動に特別な影響を与えないが、定款に記載することに
よってその他の記載事項と同じ法的効果を享受することができる。定款に記載してこそ、その効力
が生じるものではない点で相対的記載事項とは異なる。
例:支店の所在地、株券の種類、定期総会の招集時期など