[京畿道南韓山城③]世界文化遺産に登録決定!

投稿日d 2014-07-28 ヒット数 436

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第38回世界遺産委員会、22日に南韓山城の世界文化遺産登録を発表
京畿道と南韓山城文化観光事業団の努力が結実へ
道、早くも中長期発展計画策定…「世界的な名所を目指す」

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◇ユネスコ世界遺産委員会(WHC.World Heritage Committee)は22日午前9時35分(韓国時刻15時35分)、カタール・ドーハの国立コンベンションセンター(Qatar National Convention Centre)で開かれた第38回会議で、韓国が申請した南韓山城の世界文化遺産(World Cultural Heritage)登録を確定した。ⓒ京畿Gニュース

京畿道の南韓山城が、韓国の11番目のユネスコ世界文化遺産に選ばれた。

22日、京畿道によると、ユネスコ世界遺産委員会(WHC.World Heritage Committee)は22日午前9時35分(韓国時刻15時35分)、カタール・ドーハの国立コンベンションセンター(Qatar National Convention Centre)で開かれた第38回会議で、韓国が申請した南韓山城の世界文化遺産(World Cultural Heritage)登録を確定した。

韓国の遺跡が世界文化遺産に登録されたのは、2010年「韓国の歴史村河回・良洞」登録以来4年ぶり。これで韓国は石窟庵・仏国寺、海印寺蔵経板殿、宗廟(以上1995)、昌徳宮、水原市華城(1997)、慶州歴史遺跡地区、高敞・和順・江華支石墓遺跡(以上2000)、済州火山島と溶岩洞窟(2007)、朝鮮王陵(2009)、河回・良洞歴史村(2010)に次いで11番目の世界遺産を保有する国となった。

第38回世界遺産委員会は、計49件の登録申請遺産のうち、事前の完全性評価で脱落した9件を除く40件(文化遺産28件、自然遺産9件、複合遺産3件)を対象に登録審議を行った。このうち南韓山城は24番目の審査対象になり、最終的に「登録」となった。

南韓山城の世界文化遺産登録が決まると、京畿道代表団長のキム・ムンス京畿道知事は21の世界遺産委員国を対象にした感謝の挨拶で「本日こちら、この場で南韓山城は新たな未来に向けたもう一つの一歩を踏み出すことになり、感謝しています。大韓民国と京畿道は東アジアの歴史の中心である南韓山城を、強い保護体制と予算支援を通じて、人類の優れた普遍的価値を保存するための政策を着実に推進していきます」と述べた。

南韓山城の世界文化遺産登録は、4月にユネスコ世界遺産委員会の諮問機関であるイコモス(ICOMOS、国際記念物遺跡会議)が評価結果報告書に南韓山城を登録勧告と評価し、既に登録が予想されていた。

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◇現地時間で22日午前、カタール・ドーハの国立コンベンションセンター(Qatar National Convention Centre)で第38回ユネスコ世界遺産委員会(WHC, world Heritage Committee)の会議が開かれている。ⓒ京畿Gニュース

□ユネスコはなぜ南韓山城を世界遺産に登録したか?

世界遺産は優れた普遍的価値(OUV: Outstanding Universal Value)を有する不動産遺産が対象だ。世界遺産委員会はこの優れた普遍的価値を評価するために10の評価基準を持っており、文化遺産はこのいずれかを満たしていなければならない。

イコモス(ICOMOS、国際記念物遺跡会議)は報告書で、南韓山城が「長年、または世界のある文化地域の中で起きた建築、技術、記念に値する芸術、都市計画あるいは造景設計の発展に関する人間的価値の重要な交流が表れていなければならない」という登録基準2と、「人類歴史の重要な段階を示してくれる建造物の類型、建築的または技術的総体、あるいは景観の優れた事例でなければならない」という登録基準4を満たしていると評価した。

イコモスは南韓山城が▲東アジア地域の武器発達と築城術が相互交流した軍事遺産で、朝鮮の自主・独立の守護のために有事の際の臨時首都として築城された唯一の山城都市であること、▲自然地形を活用して城郭と防衛施設を構築することで、7世紀から19世紀にわたる築城術の時代別の発達段階をよく表していることを挙げ、世界遺産になる価値があると評価した。

南韓山城には、身を隠して銃や弓を打つことができる女墻と、銃を打てるよう開けておいた穴、炮を打つことができる炮楼が存在する。初期の城壁しかなかった形態から、武器の発達にともなって城の形態が変化していったのだ。

南韓山城の構成をみると、中央に行宮があり、左側には宗廟に該当する左殿、右側には 社稷壇に該当する右室がある。周辺は城で囲まれており、城門がある。中国歴代王朝の首都建設原理だった周の文書、周礼冬官考工記に基いている。イコモスはこうした証拠が人間的価値の交流を強調した登録基準2を満たしていると評価した。

また、南韓山城には7世紀の統一新羅時代から朝鮮時代の仁祖、粛宗、英祖、正祖など各時代別の城壁の痕跡がそのまま残っており、時代別の築城術の発達が一目でわかるようになっている。これは人類歴史の段階を示さなければならないという登録基準4を満たす要件だ。

ほかにも、イコモスは▲完全性の側面で世界遺産の価値を反映する遺産がよく保存されており、効果的な法的保護体制や南韓山城文化観光事業団という単一の民間機関によって保存・管理されていること、▲誠実性の側面では、南韓山城の形態とデザイン、材料と抗生物質、用途と機能をはじめ、歴史的な構成要素が三国史記など様々な史料によって裏付けられていることも高く評価した。

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◇第38回ユネスコ世界遺産委員会の会議に出席したキム・ムンス京畿道知事。ⓒ京畿Gニュース

□南韓山城の世界文化遺産登録、意味は?

南韓山城の世界文化遺産登録は、南韓山城という韓国の遺跡が、世界的に優れた普遍的価値がある遺跡であることを国際的に認められたという点で意味がある。南韓山城は登録と同時に世界から関心を受けるようになり、今後、ユネスコ世界遺産センターからの技術的・財政的援助も受けられるようになった。

世界文化遺産登録に伴う観光客増大も予想される。南韓山城はソウルと隣接しており、国内外から観光客を呼び込む効果が他遺産に比べて大きいとみられ、外国人の韓国旅行の際にオススメの必須コースの一つになれば、地域経済の活性化にも貢献すると期待されている。

京畿道としては、道が主導した世界遺産登録事業が成功したという点で意味が大きい。国内の世界遺産はこれまで中央政府が主導したが、南韓山城は京畿道と民間専門機関である南韓山城文化観光事業団が連携して主導した(6ページの京畿道の取り組みを参照)。今回の事例は今後、他の自治体のベンチマーキングの対象になる可能性もある。また、道は平地城(水原華城)と山城(南韓山城)の世界文化遺産を全て保有する唯一の広域自治体となった。

□登録後発展方向

京畿道と南韓山城文化観光事業団は、南韓山城の世界遺産登録を確信し、今年2月、登録後の主な事業と中長期の総合発展計画を既に策定した。

道はまず、7月24日に南韓山城行宮で南韓山城の世界文化遺産登録を祝い、その後のビジョンを宣言する「南韓山城世界遺産登録記念式」を開く予定だ。翌日の25日は水原ラマダホテルのグランドボールルームで、国内外の世界遺産専門家が参加する「南韓山城登録記念 国際学術シンポジウム」を開催し、登録後の保存管理方向を決める計画だ。

9月は南韓山城にユネスコ世界遺産のロゴ付きの案内板の製作・設置を完了させ、9月20日から南韓山城の登録を記念する国民文化フェスティバルを開き、観光客誘致を本格化する。

登録後の中長期計画としては▲ユネスコが求める国際的基準の南韓山城有形・無形遺産の体系的な保存管理計画、▲大幅の観光客増加に備えた訪問客管理システムの構築、▲既に世界遺産に登録されている京畿道の水原華城、朝鮮王陵を結ぶ文化観光ベルトの整備など、南韓山城を世界的な歴史文化遺跡地にするための方策が検討されている。

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◇南韓山城行宮。ⓒ京畿Gニュース

□南韓山城の世界文化遺産登録、どう実現したか?

南韓山城の世界文化遺産登録は、今から7年前の2007年7月、京畿道広州市が30年以上持っていた南韓山城の管理権限が京畿道に転換し、スタートした。

1971年に道立公園に指定された南韓山城は、公園の所在地の広州と河南、城南市の森林緑地課で分割管理し、体系的な管理が十分に行われているとはいえなかった。2007年1月、南韓山城を訪れたキム・ムンス京畿道知事は「道立公園らしく、道が主体となって公園全体を管理すべきだ」と、管理体制の転換を指示した。その上で、「南韓山城は実際、外部との戦争が激しかった生きた博物館。ここを置いといて他の博物館に200~300億ウォンを投じるのは無駄」とし、全面支援を約束した。

管理体制の転換後、京畿道は南韓山城を保存・管理する機関として、国内で初めて文化遺産を管理する民間の管理機関「南韓山城文化観光事業団」を2009年に発足、計47億ウォンを超える予算を投入、南韓山城の保存と活用、世界文化遺産登録などの重要事業を推進しはじめた。

南韓山城文化観光事業団の主管で2010年1月にユネスコの暫定リストに正式に登録された南韓山城は、その後、2011年2月に文化財庁の国内暫定リストの優先登録推進地に選ばれ、2013年1月に世界遺産登録申請書を提出、2013年9月にイコモスの現場実査などの過程を経て、2014年6月に正式に登録されることになった。

京畿道は2000年から南韓山城の復元事業に道費538億ウォンと国費146億ウォンなど684億ウォンを投資し、世界遺産登録事業にも2009年から道費19億ウォンと国費1億4千万ウォンなど20億4千万ウォンの予算を支援してきた。

□世界遺産とは

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)が1972年11月、第17回定期総会で採択した「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基いて構成された世界遺産委員会が、条約加盟国の文化遺産のうち、人類のために保護すべき価値があると認めたものをいう。

1975年、20カ国が世界遺産条約の批准を発効させ、2012年現在、加盟国は191カ国に上る。韓国は1988年に加盟した。世界遺産は、歴史的に重要な価値を持つ文化遺産と、地球の歴史を示す自然遺産、これを合わせた複合遺産に分けられる。2013年現在、172カ国に987件の世界遺産がある。

毎年6~7月に世界遺産委員会を開催し、各国から申請された文化遺産と自然遺産を登録するかどうかを決めるが、世界遺産申請書の提出から登録決定までは通常1年半ほどかかる。

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◇南韓山城古地図帳。ⓒ京畿Gニュース

□南韓山城とは

南韓山城は、文化財保護法が制定・施行され、1963年1月に史跡第57号に指定された。主に城郭を中心とする山城と行宮区域に分かれるが、行宮は王が臨時に居住する王宮という意だ。

城郭の長さは計11.76キロで、本城が9.5キロ、外城が2.71キロだ。面積は延べ36,447立法メートルで、城の内側が2,317立法メートル(6%)、外側が34,130立法メートル(94%)を占める。広州市が22,920立法メートル(63%)を占め、河南市が8,818立法メートル(24%)、城南市が7,709立法メートル(13%)を占める。

南韓山城内には城郭と行宮のほか、守禦将台、演武館、崇烈殿、清凉堂、顯節祠、枕戈亭の6つの京畿道指定文化財があり、望月寺址と開元寺址の京畿道記念物も2つある。年間利用者が320万人に上り、駐車場やトイレ、探訪路、歴史館、屋外公演場、広場などの施設を備えている。

南韓山城ほど韓国の歴史と軌を一にしてきた城郭は多くないだろう。

南韓山城は、新羅・文武王12年の672年、書長城という名で初めて建てられた。当時、唐との戦争に備えて築いた最前線の基地だった。高麗時代の広州副使、イ・セファは1231~32年、モンゴル軍の侵入を南韓山城で阻止した。

南韓山城は朝鮮・仁祖2年の1624年に再び築城に入り、1626年に工事が完了した。南韓山城行宮は仁祖4年の1626年に完成し、丙子の乱の際、仁祖が47日間泊まりながら抗戦した所だ。その後、粛宗、英祖、正祖が世宗大王の陵である英陵を参拝に行く途中で泊まった場所でもある。

朝鮮末期は近代の抗日義兵たちが拠点にしたこともあり、1907年、日本が爆破を断行し、山城内の多くの施設が破壊された。

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