北朝鮮人権法と黃祐呂代表に掛ける期待

投稿日d 2011-08-30 ヒット数 608

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北朝鮮人権法と黃祐呂代表に掛ける期待 (2011.08.16)
金文洙(キム・ムンス)京畿道知事

 

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2004年10月18日、アメリカの上院下院両院が満場一致で北朝鮮の人権法を可決させた時、私は大韓民国の国会議員としてただただ恥ずかしいばかりだった。我々がしなければならないことを彼らが代わりに行ったためだ。その後、同じ意向の同僚議員たちと2005年8月11日、17代国会議員の私は、28人の同僚議員の署名と共に北朝鮮人権法制定案を国会に提出した。
-国家は大韓民国の国民である北朝鮮住民が憲法上基本的人権を守れるよう尽力しなければならない。 -政府は国軍捕虜や拉致被害者、離散家族、脱北者など、南北間の人権問題解決に積極的に取り組んでいかなければならない。 -北朝鮮人権大使、国軍捕虜や拉致問題解決のための企画団および北朝鮮人権記録保存所などを設ける。
これが、当時私が発議した北朝鮮人権法の核心的内容だ。しかし、この法案は上程すらされずに会期終了と同時に廃案と化してしまった。
北朝鮮が大規模な食糧難に陥り、飢えに苦しむ住民たちの脱北が始まった1990年代半ばから、北朝鮮の人権問題が国際社会の緊急な解決問題として浮上してきた。EU国家の主導でUNは2005年から毎年、総会で北朝鮮の人権決議案を採択している。アメリカに続き日本も2006年に北朝鮮の人権法を独自に制定した。
しかし、実際に北朝鮮の国民を韓国の国民として規定し、脱北者らに特別な国籍取得過程なしに入国と同時に国籍を与え、家や定着資金を与えている大韓民国は、これまでこの問題に対し袖手傍観してきた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2003年、政府はUN人権委員会の対北朝鮮決議案における票決に不参加、2004年と2005年にはこれを棄権した。子供たちの日記を読むことすら人権侵害だとする国家人権委員会は国民の税金を使って研究調査を依頼した後、北朝鮮の人権がひどい状態にあるという報告書が出たとたん、これをそっと隠してしまった。当時国会では脱北者の証言を聞くこと、他の国の放送で既に報道されている北朝鮮の公開処刑動画を見ることさえも声を荒げながら主張して初めて見れるか見れないかという状態だった。2004年9月2日に開かれたウリ党議員25人はアメリカの北朝鮮人権法制定に反対する声明をアメリカ大使館に提出した。私が北朝鮮人権法を発議した時も彼らは「北朝鮮を刺激して南北関係を悪化させる心配がある」と反対した。
わが国で6年間もそのまま放置されている北朝鮮人権法だが、アメリカではどのようにして与野党満場一致で可決したのだろうか?

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カンザス現州知事であるサム・ブラウンバックが「2003北朝鮮自由法案」を発議、続いて下院国際関係委員会(委員長ヘンリー・ハイド)の東アジア太平洋小委員会(委員長ジム・リッチ)に所属していた弁護士のダグ・アンダーソン(Doug Anderson)が「2004北朝鮮人権法」を起草した。ダグは北朝鮮の人権問題に長年関心を寄せ続け、北朝鮮の人権運動家であるスーザン・ショルティーが幾度も企画した脱北者の議会聴聞会を準備し、これを成功させたりもした。
このように準備された北朝鮮人権法を連邦議員らや国防省の官僚らにアピールし、これを押し通した人がスーザン・ショルティーと北朝鮮自由連帯(North Korean Freedom Coalition)のマリアム・ベルなどであった。ワシントンとニューヨークにあるNGOやマスコミ関係者らも彼らに協力した。2004年に北朝鮮人権法が可決された時、ジム・リッチ小委員長は、北朝鮮自由連帯を指名し、その功労を称えた。
米議会は北朝鮮人権法の3度に渡る票決を行ったが、これら全て、議員が各自投票するのではなく、「意義はありませんか?」と議員らに聞いた後、「意義なし満場一致で可決」という発声投票(voice vote)で通過したものだった。
世界人口の1/3が70年間に渡り実験してきた社会主義は今や完全に失敗に終り、その中でも北朝鮮は最も手ひどく失敗した国だと言えるだろう。北朝鮮は子供たちをはじめ、数百万人の国民たちが飢えに苦しんでいてもこれを放置し、数十万人を政治犯として収容所に監禁、歴史上類を見ない3代世襲王朝を築き上げている。北朝鮮を脱出し、韓国に逃げてきた脱北者は 2万人を越し、彼らが証言する北朝鮮における人権実態はまさに想像を絶するものである。北朝鮮人権記録保存所という団体は先月21日、北朝鮮政権が幼い子供や家族にまで公開銃殺を強制的に見せているという実態調査結果を発表した。この団体が脱北者1万3000人のインタビューを基に調査したところによると、北朝鮮には少なくとも182ヶ所の拘禁施設が設けられており、収監者らは毎食一皿にも満たないとうもろこし粥と塩汁で辛うじて生き延びているほど、生存権への侵害程度は甚だしいものがあるという。北朝鮮全体が巨大な収容所であると言っても過言ではない。
このような状況であるにも関わらず、わが国の国会は米議会が7年前に可決させた北朝鮮人権法を未だに通過させず、放置している。真っ暗な闇の中に閉じ込められている人にとって最も大きい慰めとなるのは、誰かが自分のことを思い、祈ってくれているということへの希望である。我々が軍事独裁に喘ぎ苦しんでいた時、大韓民国の人権に関心を寄せる外国の人権団体の存在が民主化運動家たちには大きな慰めとなった。我々は真っ暗な闇に包まれた北朝鮮に希望の光を照らさなければならない。北朝鮮人権法は北朝鮮の住民のための自由と人権へのメッセージである。今後、南北が統一した後、大韓民国が北朝鮮住民の人権を守るために何をしたかという問いに我々は何と答えることができるだろうか。
先月20日、イギリス上・下院議員20人が大韓民国の与野4党の代表に北朝鮮人権法の制定を催促する書簡を送った。イギリス議会内の超党派議連の「北朝鮮に関する上・下院共同委員会(APPG)」所属の議員たちは書簡で「北朝鮮の人権を増進させることは韓国だけでなく、国際社会全体の利益に繋がる」とし、人権法制定を促した。
ハンナラ党が8月の臨時国会で必ず北朝鮮人権法を可決させると意欲を燃やしているだけに、今回こそは北朝鮮人権法が可決されるのではないかと期待している。特にハンナラ党を率いる黄祐呂(ファン・ウヨ)院内代表は「北朝鮮自由移住民の人権を守るための国際議員連盟(IPCNKR)」の議長として北朝鮮の人権増進のため、常に先頭を切ってきた方であるため、さらに期待はふくらむ。
http://www.hannara.or.kr/ohannara/anounce/hannara_view.jsp?no=10996&fno=2