北東アジア協力体制強化に向けての中韓海底トンネル構想
投稿日d 2008-05-30 ヒット数 6405
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改革開放以来、年平均10%に及ぶ成長を成し遂げている中国を背に、日中韓3国の貿易額が世界貿易で占める割合が16%を超えている。それに朝鮮半島を中心とする北東アジア地域の物資流動量が急激に増加するにつれ、海底トンネルなど様々な運送システムの構築への検討がもっとも必要な時期といえる。
それで、京畿開発研究院は、「北東アジア協力体制強化に向けての中韓海底トンネル構想」と題した国際セミナーを、5月14日大韓商工会議所の国際会議場にて開催した。
国際セミナーを主催した京畿開発研究院の左承煕(ザ・スンヒ)院長は、「中韓両国の人的交流が一日一万人を超えるようになり、毎週400便以上の航空便が両国を行き来している」とし、韓国と中国は、経済や文化、観光など、多様な分野において一つの共同生活圏であることを強調した。そのため、両国の質的成長を基に、経済距離を最大限縮小することが早急であるとし、「朝鮮半島が、地理的メリットを生かして21世紀北東アジア経済圏の重要な役割を果たすためには、複合運送体系構築が何よりも重要だ」と付け加えた。それに加え、21世紀北東アジアのシルクロードとも言うべき中韓海底トンネルの役割を力強く訴えた。
金文洙京畿道知事は、「韓国と中国は、経済や文化、歴史において緊密な関係にあり、両国の交流増加は、韓国西海岸の地方自治体と山東省、天津など中国の海岸地域との交流協力に向けての協力体制の構築を必要としている」ということを、祝辞で明らかにした。
また、「海底トンネル構想は、京畿道だけでなく国全体の課題として検討する必要があり、北東アジア物流ハブとして成長するための研究が引き続き行われるべき」だと述べた。
まず最初に、趙・ウンレ京畿開発研究院の副院長が、「中韓海底トンネルの基本構想」をテーマに、両国における貿易現況と海外海底トンネルの建設事例について発表した。
趙副院長は、韓国の高速鉄道網と日本の新幹線、工事中の中国高速鉄道網(北京〜上海、2013年完工)が、海底トンネルで結ばれると、これら高速鉄道網によって北東アジア地域の国々が一つになり、経済統合も加速化するものと予想した。中韓海底トンネルを利用する場合、北京までの距離は、北朝鮮を横切る距離とほぼ変わらないだろうが、山東や上海など中国南部地域との距離は大きく短縮できるものと分析した。その上、飛行機を利用する際の空港までのアクセスや待機、フライト時間などを考えると、海底トンネルのほうに競争力があることを強く訴えた。
海底トンネル路線案としては、北朝鮮の龍淵(ヨンヨン)まで入れて、仁川、平澤、泰安から中国へつなぐ4つの案を検討した。路線は、今後具体的な検討により決められる予定だ。
<中韓海底トンネル路線案>
海底トンネルが走る西海岸の最大水深は80m、平均水深は40mと良好なほうであり、地質の場合もトンネル掘削のための基盤岩としては、あまり問題ないと分析された。中韓海底トンネルは、橋梁方式や沈埋方式、掘削方式などが複合した形で、建設が進められると思われる。それにより、工事コストに差(�q当たり工事費は、大体2000億ウォン〜3500億ウォン相当)が生じると見込まれる。海底トンネル工事の場合には、工事施工及び維持管理のため、人口島を25〜50�qおきに建設するのだが、それについて趙副院長は、「中韓海底トンネルの場合、公海上に人口島を造成し、ホテルやコンベンション、カジノ、海洋レジャー施設などが調和した海底都市を建設し、その利用需要を増大させる方案も検討する必要がある」と主張した。
現在、中韓海底トンネル建設に伴う旅客&貨物、物資流動量の予測、工事費算定、経済波及効果、財源調達方法などについての意見の違いを解決するため、今後中韓において「海底トンネル研究グループ」を構成し、技術や物流、経済、財政など、各分野別に踏み込んだ議論を行う必要があるということには、中国側も意を同じくしている。
趙副院長はまた、「世界の海底トンネル事業は、無限の潜在性をもつ大規模な市場といえる。こういう海底トンネル建設市場へ積極的に参入するためのコア技術の開発が何よりも早急の課題であり、中韓海底トンネルの推進に向けた投資財源の確保策についての検討も必要だ」と付け加えた。
「中韓海底トンネル建設の妥当性」について発表した李宏(リホン)中国国家発展改革委員会の総合運輸研究所研究員は、「中韓の交流協力が急速に拡大するにつれ、単なる経済側面での交流協力から文化や観光など、多様な側面における協力が拡大しつつある」とし、2030年中韓の年間訪問者数4000万人、年間貨物運送料3.4億トンを見通している。李宏研究員は、「急増する物流需要をカバーするには、中韓の鉄道を活用する案が最も効果的だ」と訴えた。
「中韓海底トンネル建設が北東アジア経済統合に与える波及効果」というテーマで発表した許・ジェファン中央大学校都市地域計画学科教授は、「中韓海底トンネルは軍事面における信頼なしには建設が不可能だということをかんがみると、北東アジアの新たな協力を示すシグナルともいえる」と述べた。特に、「中韓海底トンネルが建設される場合、中国の渤海湾地域と韓国の西海岸地域との新しい協力が築かれ、同一経済圏内の巨大な生産ネットワークの構築ができる」と展望した。許教授は、中韓海底トンネルがより良い波及効果を生み出すには、日韓海底トンネルも同時に進める必要があると述べた。
発表に続き、董焰中国国家発展改革委員会の総合運輸研究所研究員、ソン・ウォンヨン仁川大学校教授、金・イジュンソウル大学校教授、申・ヒスン韓国地質資源研究員、鄭・チャンムソウル大学校教授らによる討論会が行われた。
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